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別冊 えくすぷれす

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豪烈強化月間(No.10)

なかなか絵を描く時間がとれず、このままでは豪烈強化月間が…!と焦り、
1時間弱ある通勤時間をどうにか有効活用できないかと考えた末、
携帯でぽちぽちと小説を打っておりました。で、とりあえず完成しましたので
投下しに来ました^O^どっせーい!
色々と日本語がおかしい部分があるかと思いますが、興味がある方は 続きを読む からどうぞ!






それは大好きな君の…―。





昼休み。

兄貴が珍しく2年の教室にやってきた。
教室の入口から手招きする兄貴の姿を見つけると、思わず駆け寄った。
兄貴が、大好きな人が会いに来てくれた。それだけで嬉しくなる。

「どうしたんだよ?珍しいじゃん、兄貴がこっちに来んの」
「用事がなけりゃ来ないよお前のとこなんか」
「相変わらず可愛くねーの」
「可愛くなくて結構」

「で?何?」と訊くと、"あ、そうそう"と思い出したように兄貴は話し始める。
「今日さ…部活が休みになったからさ…」
「うん」
「その…」
「?」
話し始めたものの、兄貴の声は段々と小さくなり、言葉も途切れ途切れになる。
心なしか頬が紅い。どうしたのかと問い掛けようとした時、

「豪せんぱいっ」

別の人物から声をかけられてしまった。

問い掛けようと口を開きかけたマヌケな顔のまま、俺は声の主のほうへ振り向く。兄貴も同じ方向に顔を向けた。
声の主は部活の後輩のクラスメイト(女子)だった。手には見慣れた青い袋を抱えている。

「あ、お前か」
そう答えると、知り合いなのかと言うように兄貴がこちらを見る。
ちょっと目付きが怖いんですけど、お兄様。

「あの、これ、CDありがとうございました!」
そう言って持っていた青い袋を差し出してきた。
「どうだった?」袋を受け取りながらなんとなく訊く。
「もう、すっごく良かったです!すぐにパソコンに落としちゃいましたv今はiP.odにも入れてますっ」
「だろー!?」
「えと、タイトルがすぐに思い出せないんですけど、3曲目がすごく好きですvv」
「お、マジで!?俺もあれ好きだぜ!」
「わぁホントですか…!良いですよね、あれ!」
 

この娘との出会いは数週間前に遡る。
サッカー部のグラウンドに遊びに来た彼女になにげなく話しかけたら、
共通のアーティストが好きであることが判明し、盛り上がった。
音楽の趣味が合いそうだと思って数日後にCDを貸し、今に至る。

「マイナーだから心配してたけど、
好きなバンドだったから気に入ってもらえて良かったぜ!」笑顔でそう言った。
誰だって自分が好きなものに共感してもらえるのは嬉しい。

「あの、またオススメのとかあったら貸してくれませんか?」
「おう、いいぜっ」
「わぁっ、ありがとうございます…!それでは…!」そう言って彼女は小走りで去っていった。
 


「いつの間にあんな可愛い娘と知り合いになったんだ?彼女?」

しばらく黙っていた兄貴が話し掛けてきて、ようやく俺は今のやり取りの重大さに気付き、慌てて答える。

「や、その、今の娘は部活の後輩のクラスメイトで!彼女とかじゃねぇよ!
つーか、兄貴は俺の気持ち知ってるだろ…!」
「さぁな~、急に心変わりしたかもしれないし」
「烈兄貴…!」頭に血が上り、かぁっと顔が熱くなるのが分かった。
「じゃ、俺は教室に戻るよ」
そんな俺を無視して兄貴はくるりと踵を返し、スタスタと歩いて行ってしまった。
「ちょっ、兄貴…!」

そして、あっという間に姿が見えなくなってしまった。
「何なんだよあの態度…」そう呟きながら自分の教室に入ろうとしたところで、別のことに気付いた。

そういえば烈兄貴、何か言いかけてなかったか…?
何だったんだろう?
 


 

昼間の兄貴とのやり取りのおかげで、今日は(も?)午後の授業は身が入らなかった。
思い出すのは頬を紅く染めて小さい声で話す兄貴と、後輩の女子が去った後のひねくれたような態度をした兄貴ばかり。
人前で手をつなぐとか怒られるような行為は特にしてないし、俺が「金貸してv」とか何かを頼んだわけでもない。
一体何が気に入らなかったのか、さっぱりだった。





放課後。

部活でボールを思い切り蹴ったり、走っているうちに昼間のモヤモヤはほとんど解消され、
帰る頃にはそれほど気にならなくなった。
どうせ兄貴のことだから、また変に考えて一人で悩んでいるだけなのだろう。


「ただいま~」
玄関のドアを開けるとふわりとカレーの匂いがした。
部活後に菓子パンを食べてきたが、さすが育ち盛り。すぐに腹が鳴った。

「おかえり豪!すぐご飯だから手洗ってきな!」
「へーい」
「あ、烈も呼んできておくれよ」
「…へ、兄貴?」
兄貴は部活がない日は、大体いつも俺が帰る時間にはリビングに居るか、
母ちゃんの手伝いをしているはずなのに…。珍しいな。

カバンを背負ったまま洗面所で手を洗い二階に上がる。
まず自分の部屋にカバンを下ろし、Tシャツとジャージに着替えてから兄貴の部屋に向かった。


コンコン。

二回ほどドアをノックするが返事がない。

「兄貴、入るぞ~?」
そっと音を立てないようにドアを開ける。乱暴に開けると兄貴は怒るからだ。

「あーにきー?居ねーのー?」
少しだけ開けたドアの隙間から顔だけを出して中の様子を探る。

「…なんだ、いるじゃん」

兄貴は部屋に居た。

居たけど、寝ていた。しかも机に突っ伏して。
兄貴が机で居眠りなんて珍しかった。そーっと音を立てないように近付き、顔を覗いてみる。

「兄貴、飯だぞー…って、ありゃ」

これもまた珍しい光景だ。
烈兄貴が眼鏡をかけたまま寝ていたのだ。

「ったく…綺麗な顔にアトがつくだろ…」
眼鏡をそっと外して机の上におこうとすると、開いていたノートパソコンの画面が目に入った。

「…え、これって…」

画面にあったのはどこかのネットショッピングサイトのようで、見覚えのある写真が載っていた。
今日の昼間、後輩に貸して戻ってきた、あのCDのジャケット写真だった。

「兄貴…」



俺と後輩が盛り上がっているのを目の当たりにしたから?

俺が嬉しそうにしてたから?

だから?

だから急にひねくれたような態度をとったの?



「ん…」
「あ、兄貴おはよ」
「…んー」
「あの、これって…」
画面を指差しながら、まだ眠気眼な兄貴に遠慮がちに訊く。

「…これ…?」
まだ事情が飲み込めないようで、ぽやぽやした感じのまま俺の指差す方向に目をやる。
それがやたらと可愛くてつい抱き締めたくなる衝動に駆られたが、ぐっと我慢した。
今はそれよりも知りたいことがある。

パソコンの画面を見た途端、兄貴は慌ててノートパソコンを乱暴に閉じた。

「み」
「?」
「見た?見たのか?」

「…うん」
そう答えると、兄貴は顔を真っ赤にして、しまったというような表情をしたが、すぐさま

「ち、違うからな!た、たまたまネット見てたら見覚えのあるやつを見つけて開いただけで…!」

と訊いてもいないのに話し始めた。

「べ、別にお前が好きなCDだから見てたって訳じゃなくて…!」



嘘。それは嘘だよ。
本当は気になっていたんだろ?



パソコンの横に置かれたメモを見れば一目瞭然だった。
そこには昼間に後輩と盛り上がったCDの3曲目のタイトルが書いてあり、さらに丸で囲んであったのだ。
家に帰ってきてからすぐに部屋にこもり、夕飯の時間に気付かないぐらい真剣に調べたんだと思うと、
目の前で顔を真っ赤にしながら必死に隠そうとするこの人が、とても愛しく思えた。

「兄貴」
「違うからな!」
「照れんなって」
「照れてない!」
「顔真っ赤にして言われても説得力ないって」
「うるさい!」
「仲間外れみたいで寂しかったんだろ?」
「なんで寂しくなんかならなくちゃいけないんだよ」
「大丈夫だって、俺は兄貴一筋だからさ」
「大丈夫って意味わかんねーし」
「兄貴の気持ちは分かってるって」
「お前、俺の話聞いてないだろ?」





それは大好きな君の、

可愛いヤキモチ。



end.


6.可愛いヤキモチ (ツンデレで10のお題@Heaven's様)


お粗末さまでしたー^q^

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レツゴで好きなCPは豪烈。年齢操作メイン。
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